こんにちは、ひろみです。
のぞき見レッスン第2回はブレスについての話です。エチュードを吹いていて息が足りなくなってしまったBさん。「どこで吸ったらいいですか?」とまず質問してくれました。休符なく続くそのフレーズを見ながら、技術的にも音楽的にもここならという箇所を指定し、まずは試してもらいました。その後Bさんにどうですか?と尋ねたらこんな話をしてくれました。
「苦しいからブレスをしたいんですけど、ブレスをすると次に吹く準備に時間がかかってしまい、入るのが遅れてしまう。それが怖くてブレスが出来なくなってしまうんです」
なるほどー。ブレスを取れないのには訳があったんです。ただ取るべき場所が見つけられないのではなく。
まずはブレスの取り方を確認。ブレスを取ることに注目するのではなく、その後テンポ通り入れることを優先した吸い方を意識してもらいました。
だいぶ良くなったのですが、まだ少し遅れます。その時のブレスの動作がとても大きく見えたので、少し動きを小さくしても出来るということを実際に吹きながら少しずつ早く、何度も練習していきました。とても上手くいっているように聞こえた頃に「どうですか?」と伺ったらBさんからこんな質問がありました。
「これだとあまり息が吸えていないような気がするのですが」
実際に吹きながら試してもらっていたのは、ロングトーン→ブレス→ロングトーン→ブレスの繰り返しをテンポを変えて。その後エチュードの中で実践。私には息が足りなくならずに吹けていたように聞こえていたのにBさんは吸えていないと感じていたようです。
「それはブレスを取る時、次にどれだけ息を吸ったら最後まで吹けるのかを一瞬で判断出来ているからじゃないですか?」
と言ったらぽかーん、としています。なのでもう少し解説。
「もし足りなくなるようだったらブレスを取る時にどれくらい吸ったらいいのかを再調整する必要があるけど、今はうまく出来ているんですよ。フレーズに対して最適な量を吸えているんです。いつもいっぱい吸っていたら余る息も多くなってしまいます。それを吐き出してまたいっぱい吸うを繰り返すと・・・動作も多くなってしまうし、疲れますよね?」
と言ったらBさん、目をキラキラさせて
「目から鱗です!とにかくいっぱい吸わなきゃって思ってました!!」
と。息を吸う動作が大きかったのにも理由があったんです。
演奏するって本当に自分の全部を使っていろんなことを考えながらやっています。全てがその人にとっては意味のある動作だからこそ、教師側が否定したり強制的に変えさせたりするより、自分で気づいたりその考えを更新してもらうアプローチをすると本当に納得して新しい変化が起こるんですね。