のぞき見レッスン③ 【音色をもっと豊かにしたい問題】

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こんにちは、ひろみです。

のぞき見レッスンシリーズ第3回は【音色をもっと良くしたい問題】を取り上げてみます。

数々の本番を経験しているCさん。本番後のレッスンでは発見や感想、疑問などをぶつけてくれるとっても熱心な方です。そんなCさんから最近音色について「自分の音が気に入らないんです」と相談がありました。最近ぐっと音が良くなってきたな、と思っていたタイミングだったので私は意外な気持ちと嬉しい気持ちでその言葉を聞きました。

嬉しかったのはCさんの中で目指したい音色が以前より明確になり、それに向かって試行錯誤を始めていることがわかったから。

音色を変えていくというのはいろんな要素が関係してくる話で、楽器やリードはもちろん、吹き方、吹き手の骨格まで影響してきます。

音色のイメージも人により様々で、どれが良いか?と判断することは難しい。良いかそうでないかはその人の価値観でしかないのかもしれない。もちろん音のイメージを実現させてくれる道具の選択はとても重要で、必要であればそこを掘り下げる必要はあるでしょう。その方法は多くの演奏家がいろいろなアイディアを持っています!その魅力的な選択と同時に知っておきたいのは、楽器もリードも身体も振動させることで音が作られている、という事実と、これをどうやって最大限実現させていこうか、という方法。身体の使い方が大きく関係してきます。楽器もリードも「今はこれで吹こう」と決めてから自分自身と向き合う音作り。

私はCさんに「どんな音を出したいですか?」と聞いたのですが、うまく言葉にならずに悩んでしまいました。だから逆に「どんな音を出したくないと思っていますか?」と聞き返すとスラスラ出てきます!やはりイメージはしっかり持っていたんです。

そこで聞いた言葉の中には

固い、突っ張っている、融通がきかない、音程が高い、混ざりにくい

など私には響きを制限するようなワードに聞こえたので、今回は呼吸を更にバージョンアップすることに取り組んでみました。

特に取り上げたのは「吐く」について。

吐く時に腹筋群を使うことを実際に確認。その時に一緒に胸のあたりもギュッと潰してしまっているように見えたので

腹筋群のお仕事→吐くこと

肋骨や肺で起こること→息を安定して長く出すこと

の動きを分けて整理してみることにしました。肋骨は息を吸うと広がるので、吐く時には元の位置へ戻ろうとするのですが、楽器を演奏するために必要な息はただ吐けばいい訳じゃない。安定した息を吹き口に合わせて長く吐き続けたい。

それが実は支えの正体!

支えをうまく使えると、息の安定だけでなく空間や骨の振動までもこれまでより得られるようになる。このことを体験してもらえるように、息を吐くと元に戻る肋骨の動きに反発することを試してもらいました。

「こんなやり方があったんですね」

そう言ってくれたCさんは少し驚いた表情。音もどんどん変化していきます。

身体の使い方が変われば音が変化するっていうのは当たり前のこと。良いとか悪いとかではなく、変化する。

「じゃあ使い方を変えればいいじゃん」と単純に考えるんですが、今の自分がやっていることって自分なりの考えや必要があってやってることがほとんどだからそう簡単には変えられない。

そこにアプローチ出来るのはイメージや感覚よりも正確な知識や事実のほうが入りやすい。イメージや感覚は感じ方が人それぞれ。身体もボヤッとしたものより具体的な指示をしてあげると動きやすくなる。

イメージや感覚でもぴたっとはまれば上手くいくでしょう。でも自分が混乱してるなーと思った時にこのことが助けになれば、と思います!