レッスン タンギングに必要なことを整理する

こんにちは、ひろみです。

あっという間に6月がやってきました。4月からの環境にも慣れ、この時期はこれからの演奏会に向けての基礎づくりに取り組んでいる皆さんも多いのではないでしょうか。

今回のテーマはタンギング。レッスンではよく悩み相談を受ける内容です。

タンギングは舌の動き、舌の動きは舌骨からの動き、舌骨が繋がる首の周辺、筋肉でつながる肩甲骨や鎖骨・・・少し前にこんなことを書きました↓(http://hiromioboe.com/%e3%82%bf%e3%83%b3%e3%82%ae%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%81%ae%e4%b8%8a%e9%81%94%e3%81%af%e3%80%8c%e8%88%8c%e3%80%8d%e3%82%92%e5%90%ab%e3%82%80%e4%bd%93%e5%85%a8%e4%bd%93%e3%81%a7%e8%80%83%e3%81%88%e3%81%9f)

レッスンではこの曲のタンギングを今どうにかしたい!という場面も多く、本番が近づいている時などは気持ちにも余裕がなくなってしまい、自分観察なんてうまくいかないかもしれません。そもそも、自分があたりまえのように無意識にやっていることを見つけることはいつ誰がやっても難しいものです。そんな時には観察・分析・今の状態から変化する動き方を外側から見る、というサポートをします。そして、今いる「もやもや状態」から抜け出す=変化するための方法を自分で使えるようになってもらう、ここまでをレッスン時間内にやることを目標にしています。

これができるようになったのは動きを見るということを教えてくれたアレクサンダーテクニークのおかげです。

今回のレッスン(高校生)は曲の中のタンギングのところでつっかえてしまう・・・「どうやったらうまくいくのかわからなくて困ってます」ということだったので、一緒にやるべきことを整理してみました。

まず、タンギングを解決するためには「舌」のはなし・・・ではなく、タンギング箇所含めた前後のフレーズの息の使い方を確認しました。わかっちゃいるけど見落としがちなフレーズの最後の音と次のフレーズの最初の音との関係性を特に丁寧におさらい。この練習中にわかったことが大きく2つありました。

・タンギング箇所になると突然音量と音質が変わっていた

・タンギング箇所の前から演奏の動きがそれまでより少なくなっていた

この時はまず音楽の流れを優先した息の使い方を理解し、表現としての意図を持って演奏することをやってもらいました。息づかいの練習なので、タンギングはこの時点でどうなってもいいと伝え何を練習したいのかをはっきり認識してもらってからやってもらいました。

やっぱり管楽器は息をどう使いたいか、ですよね。やりたいことの全てに関係してくるこの「息コントロール」の優先順位はかなり高いはずなのに、他のことに一生懸命になるとなぜだかここが抜け落ちてしまう。そうそうそう・・・とよく自分にも言い聞かせます。。。

息コントロールを確認したら、次にそこにのせるタンギングについて。

まずは楽器は吹かず、リラックスした状態で「タタタタ」吹きたいテンポで歌ってもらいました。この時点では特に問題なく歌えていたので、舌の動きそのものについてはとりあえずこのままやってみようと判断。

次に「タタタタ」言っている時に自分のどこまでに動きがあるのかを改めて観察してもらいました。この時の生徒さんはけっこう広い範囲が振動していることを確認できたようで、頭の方まで振動を感じると言ってくれました。

そして、その体験を楽器を演奏するということに繋げていきます。「タタタタ」言いながら口の形を演奏できる形に変えていきます。それでも振動を感じながら「タタタタ」言えることを確認し、楽器を構えていきます。吹き口(リード)をくわえたときに楽器の重さで下唇を押し付けるようになってしまうと「タタタタ」言いづらくなるので、自分の感覚より上唇に近づける方向に楽器を持ち上げます。自分が演奏しやすい状態のところ=「タタタタ」が言いやすいところで楽器を構える。こんなあたりまえにできていると思っていることに見直しをかけました。たった数センチ、本人にとっては誤差の範囲くらいにしか感じていなかったでしょう。そこから息を吸い、さっきの息の流れの中に「タタタタ」の動きを入れてみる。よし!!タンギングができるというだけじゃなく、とても軽やかになったのが本人にも私にも明らかに聴こえてきました!!

自分が楽器にアジャストするのではなく、吹きたい位置にいる自分に楽器をアジャストさせるアジャストということに明確な意図を持ち、それを自由にさせてくれる腕の動きをいつもより使った、ということでしょうか(と言っても数センチ)

慣れていないことは当然練習が必要、ということで、次回会った時にどう変化しているのか、どう自分のものにしてきてくれるのか楽しみです♪

「タンギングだから」という特別な思い入れ(苦手意識)の中に自分が望まない(必要ではない)ことが動作として入り込んではいないだろうか?

音楽とメンタルの強い結びつきを感じずにはいられません。