こんにちは、ひろみです。
2つ前のブログ記事の最後に
「楽器とリードが決まったら、次は自分が対応する番。自分が柔軟に対応できるということは、それだけ自分が許容できるリードの選択の幅が広がってきます」
と書きました。楽器とリードにこだわることは大事なこと・必要なことだということは前の記事から知っていただけたと思うのですが、いざ演奏するときには「その状態の楽器と選んだ1本のリードとわたし」で自分の音楽を奏でることになります。
その楽器と1本のリードは環境の変化を受けやすく、良くも悪くもいつも同じではいてくれません。でもそこで考えてみてほしいことがあります。
実は「自分の状態」も毎日違うと思いませんか?
自分だって、全く同じでいることはほぼ不可能。すっきりしている日、疲れている日、元気いっぱいの日、体調が悪い日・・・もっと言えば、1日の中でだって変化は感じていますよね。それなのに、そんな自分を無視していつも通りのやり方でいつも通りの演奏をしようとしていませんか?
演奏で私たちがやっている動きは思っている以上に繊細です。ちょっとしたことで音色が変化したり、音が当たったり当たらなくもなってしまいます。だから、いつも同じように演奏しようとしていつも通りにはいかないのは実は「あたりまえのこと」だったりもするのです。
(そもそも演奏は毎回が同じではないですよね♪)
少し前のレッスンで
「高い音が出たり出なかったりするんです」
と生徒さんから相談されました。具体的にはこの楽譜のYからの部分、高いD、E(レとミ)でした。
この生徒さんは演奏歴も長いアマチュア奏者さんで、技術も向上心もお持ちの方。普段、この音域の音が出せないわけではありません。でも、なぜかこの部分に関しては音が当たらない。。。ご本人もどうして??という感じに見えました。
こんな時は「高い音が出る方法」を知るよりも、「音を出すときにやっていること」を整理したほうが今後にも役立つと思い、低音域・中間音域・高音域でやっている音の出し方について改めて考えてもらいました。
上手な人ほど何気なくやっていることですが、この3つの音域でやっていることってけっこう違いますよね?あなたはどんな動きをしていますか?それを改めて言葉にしてみると・・・意外にわからないものだったりもするんじゃないでしょうか。
まず、そもそも音を出すために必要なこと
・息を入れる(どのくらい?)
・リードと自分が触れる(どの部分が?どのくらい?)
に、高い音だから必要なことと低い音だから必要なことを加えてみるということを提案しました。
このやり方が正しいと伝えたいのではなく、一度シンプルに整理をしてみるとこれまで自分がやっていた「実は無くてもいい動き」に気づくきっかけになったり、1つの動きをするためには実はいろいろなやり方があるという発見があったり。
そして何より必要なことを知っていると、その時の自分の条件に合わせて自分を調節することを考えられるようになってくるんです。
レッスンに戻りますが、この高音域の場合、中音域よりも息のスピードが必要になります。それをどうやってやってるのか?ということに注目しました。この生徒さんは普段この音が出せないわけではないので、いろんなことが「この速さで処理できていない」ことを疑いました。息のスピードについての確認ともう1つ、口まわりでぎゅっとすることの意味を確認し、その方法を整理してみたいと思いました。
口の周りをぎゅっとする≠アンブッシャを締める≠リードを噛む
同じように表現されがちなこの言葉の意味を、私は全く違う動きと捉えています。それは置いておいて、この場合の口まわりをぎゅっとする動きは、きっと息のスピードを上げたいからやっている動きで、息の出口を狭くすることでそれを実現しようとしているんじゃないか?と推測しました。
まず高音域はどのくらいの息で音が出るのかを改めて確認。次に高音域をどうしようかではなく、はじめから高音域が出せる息で吹いてみる、という方法を試してもらいました。「間に合わないくらいだったらはじめからやっておく作戦」です。これで少し改善しましたが、どうしてもまだアンブッシャのほうでもなんとかしようとしていました。
だとしたら??
そのアンブッシャの動きはうまくいっていないということなので、見直しが必要です。ギュっとする加減を考える、という手もあるのですが、ぎゅっとしているその動きの他にも実は息の出口を狭くする方法はあります。しかも、口の周りをぎゅっとするよりも早く、ラクに、負担なくできる方法が。今回はそっちの可能性を試してみたいと思い、提案しました。
それは <息の出口を狭くするために腕を使う> という提案です。
わたしたちのやりたい動きは全身が協調しています。どこかをあまり使っていなかったらカラダは自然に他のどこかがカバーして働き、やりたい動きを達成します。でもそれだと部分的に負担がかかりすぎてしまう。また、同じことができるのだったら、小さな筋肉より大きな筋肉にやってもらうほうがラクに出来る。そんなことをわたしたちのカラダの構造に沿って考え、実際に見せてもらった動きと照らし合わせて出した1つの可能性。この時は、腕を使って上唇とリードの開きの関係を作り、下唇をそこに合わせてどのくらい閉じるか合わせていく、というやり方をカラダの構造に沿って理解してもらい、実際に腕を使うことを一緒にやってみました。
こうやって文章にすると大きな動きのように感じるかもしれませんが、実際はほんのわずかな繊細な動きです。でも、動かすのと動いていないのはかなりの違いで、それが音が出るか、出ないかという大きな違いになって聴こえてきます。
高音域は楽器の調整やリードが影響してくるのは事実。そこを含めて考えたうえで
「高音が出ないのはこのリードのせい!」
というところから
「今日はこう対応すれば音が出そうだな!」
という自分になれたら少しはリードのストレスから解放される??間違いなくリードの選択の幅は広がると思います。
興味のある方は是非レッスンで一緒に探求しましょう♪