こんにちは、ひろみです。
呼吸シリーズ②は「アレクサンダーテクニークを使いながら呼吸をしてみるとどうなる?」という実験の話。先日、はじめてレッスンにいらしてくれた方とのやりとりから。
これまでの経験や今取り組んでいることなどをお話いただいた後に「今一番気になっていることはどんなことですか?」と伺ったところ、どうしても力んで頑張って吹いてしまう、高い音が細くなってしまうということが気になっているとのこと。「もっと気持ちよくソロを吹けるようになりたい!」と話してくれました。演奏していただくと楽団で普段から活躍されているんだろうなという表現力を感じる演奏でしたが、ご本人は不満げです。「もっと力まないで吹きたい」と。向上心がビンビン伝わってきます!!
「アレクサンダーテクニークにとても興味があります」とも聞いていたので、それじゃあまずはアレクサンダーテクニークのど真ん中、身体の使い方の質の違いについて注目(自己観察)をしてもらいました。まずは、頭と背骨の関係についていろいろ試してみませんか?と提案。呼吸の仕方、ブレスの取り方は今までのやり方のまま、それをする自分の状態をわざと変化させながら(主に頭と背骨の関係において)同じフレーズを吹いてみるととどうなるだろう?という自己観察。
はじめに楽器を持っていない状態で頭と背骨の関係が体全体にどんな影響を与えているのかを体験。そんなことはこれまで考えたこともなかったかと思うので、ゆっくり、じっくり変化を味わいながら。そして、この状態の違いをできるだけ多くの言葉にしてもらいます。(自分の内側で起こっている体験を言葉にするのはなかなか難しい作業です)
次に、楽器を吹いている自分を想像してもらい、さっきの体験のどの状態に近い体感で演奏していることが多いだろう?と振り返ってもらいます。レッスンをしていると、ここで演奏中の「力み」とさっきの体験が結びつく方が多いです。そうするとよりしなやかさのある状態のほうを再現したくなってきますよね。
ここで、私は良かった状態ってどんな状態??をもっと掘り下げます。人によってその方法(アプローチの場所等)は異なりますが、良くなった状態に至るプロセス「何をする」をまず具体化します。体験したことを言葉にしてもらったことからサポートしながら、フワッとしたイメージではなく自分を動かす指示にできることが目標です。
その指示を自分に言いながら(自分の状態を自分でコントロールする)さっきも吹いてもらったソロをもう一度演奏してもらいました。そうするとどうでしょう?響きがガラッと変わり、苦しそうだったブレスにも余裕ができたようにも見えました。ご本人に伺ってみると「力まなくても息が続きました!!」と驚いています。
私もそうでしたが、何かをやろうとする時に「どうやってやろう?」という種類のことはたくさん考えたり試したりしますが、その時の自分自身の状態にアプローチしてみようという取り組みはなかなかやれなかったように思います。
緊張してる時には勝手に体はこわばるし、心許せるメンバーとのアンサンブルではのびのびと吹ける。そんなその場の条件に反応しているに近い自分の状態が演奏に影響していることは嫌というほど経験しているのに、それを自分でコントロールすることができるとも思ってなかったし、取り組んできたこともありませんでした。
「アレクサンダーテクニークを使って演奏すること」が時々誤解されているのは「演奏しているときにも身体のことをずっと考えなくてはならない」と思われていること。
演奏者は音楽に集中したい!ですし、他にも考えるべきこと、注意したいことが山のようにあるのですから「そんなこと言われたら無理!!」ってなります。実際にそういうニュアンスでレッスンされるアレクサンダーテクニークの先生もいらっしゃいますが、それはあくまで理解の話かなと思うのです。実際に取り入れる時には、現場でも使えるやり方で、その人にとって使いやすい形にし、でも何度でも気づけるような工夫をしながら慣れていきながら発展させる、そんなサポートをしたいと私は考えます。
「演奏しながら常に自分の音程のことは気にしている」というのは管楽器奏者にとっては当たり前のこと。とても似たような感じで、常に自分をどう使っているのかをモニターできるといろんな自分が見えてきます。
「場数を踏む」「経験」「イメージ」「勉強」「分析」「リード」「感性」「度胸」「レッスン」「何があっても勝手に動くくらい練習、練習、練習!」
こんな練習をひたすらしてきた私はアレクサンダーテクニークに出会って
「もっと早く知りたかったーーー!!!」
と思いました。この日のレッスン後に生徒さんからも全く同じ言葉が聞けて嬉しかったです♪
「高い音が細くなること」についてはまた別の機会に。
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