動きの認識の話 手に痛みを感じていた生徒さん

こんにちは、ひろみです。

自分ではやってるつもりの動きが実は違った!なんて経験ありますか?そもそも動きの違いについては無意識に起こっていることも多いですよね。

例えば、ラジオ体操の「前屈」の動き1つでもやり方は人それぞれ。みんなで体操、なんて場面があったら是非周りを見わたしてみてください。腰の上あたりから曲げている人、首からちょこんと下を向く人、股関節からぐっと深く曲げている人。みんな自分でやっているのは「前屈」という動きのはずなのですが。

ここでもう少し踏み込んでみます。

「前屈」というなんとなく知っている動きを、例えばこちらがやってほしいと思っている動きに近づけたいという意図を持って少し詳しくお伝えすることにします。この場合にやってほしいのは「股関節からの屈曲」(股関節から前に倒れる動き)だとすると、それをやってもらうために「股関節って自分のどこにある関節なのか?」「どんな時に使っているのか?」「元々どんな動きができるのか?」などをお話ししたり実際に一緒に動かしたりしてみます。同じ話を聞いてもある人にとっては当たり前すぎることかもしれないし、ある人にとってはえ??という気づきがあるかもしれない。同じように理解し合えるようになるにはそのベースにある「前提」や「考え方」を共有することは本当に大切なことで、相手の理解を確認しながら進めていきます。

ここまでお話をして「わかりました!」と言っていただいても・・・やってもらうと「あれ?違う動きになっている」なんてことも実は珍しくありません。

話がうまく伝わっていないという可能性もありますが、ついカラダが自分に馴染みのあるほうの動きをしてしまう、というのは多いパターン。やりたい動きに似た動きを別のどこかを代用してやっているのです。「わかっていてもできない」や「やってるつもり」に関係している習慣の動きがポイントになるでしょう。ここを教師側が見てあげられると理解が速くなるのはもちろん、不具合や故障の予防にもなってきます。

先日のレッスンでこんなことがありました

右手小指を使う運指で指がつっぱって肘下あたりが痛くなってしまいます。左手人差し指のハーフホールの時のように手首を使えればうまくいきそうだと思って同じように右手もやっているんだけどうまくいかなくて。

うんうん、それはいい考えですね!と思いながら「とりあえずやってみましょう」と見せてもらうことに。

(あれ??そうは動いてないのはどうしてだろう?)

ここで教師側がまず理解したいのは生徒さんの現状把握。まずは本人がやりたいと思っていることとやっていることの違いを見つけたいです。

この時は「手首を使いたい」までは良かったのですが、その使い方には問題があるように見えました。

ここでちょっと考えてみてください。手首の関節ってどんな動きができるのか、知っていますか?ちょっと動かしてみましょう。

機能としては簡単に言うと前後へ曲げ伸ばし(屈曲と伸展)あと「バイバイ」のような動き(内転と外転)ができ、それらを組み合わせると限定的な円運動も可能になるそうです。

じゃあ手のひらを上下にひっくり返すような動きも手首でできる??

コレは実は肘関節の動きが大きく関わってきます。よーく肘関節あたりを見ながら動かしてみてください。肘から下、連動してますよね?(回内・回外の動き)

こんなことをお話しながらもう一度やってみてもらったところ、ご自身で動きの違いに気がついてくれました。手首の回転、と思ってやっていたことが「バイバイ」の動きのほうだったんです。この動きは可動域が少ないですから(骨にぶつかってそれ以上いかなくなります)無理矢理遠くに伸ばそうとしすぎることで手首を通っている大事な神経を刺激してしまったり、炎症を起こしてしまうような痛みにも繋がりかねません。その動きから「手のひらを上下にひっくり返すという肘からの動き」に変えてやってみたところ、これまでの痛みやつっぱりを全く感じなくなったと言ってくれたんです。

実はこの生徒さん、以前にはオーボエではなく別の木管楽器を10年くらい演奏されていたとのこと。その時から指のつっぱりからの腕の痛みを感じていたそうで、そこにも共通点を見つけていただいたようでした。

演奏は繊細かつパワフルな動きの連続

自分の音楽をもっと自由に奏でるためのコンディション作りや動きについて、私自身も学びを深めながらお伝えしていきます^^