バイエルン国立歌劇場 Tannhäuser に参加して

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こんにちは、ひろみです。

先日、私の人生の中でも忘れられない経験になる現場に関わらせていただきました。タイトルにある名門バイエルン国立歌劇場の2017年日本公演。演目はワーグナー作曲のタンホイザー、指揮は初来日で時期ベルリンフィルのシェフに決まっているペトレンコ氏!!そこでの今回の私の役目はバンダでした。
バンダ(banda)とは、オーケストラなどで、主となる本来の編成とは別に、多くは離れた位置で「別働隊」として演奏する小規模のアンサンブルのこと(Wikipediaより引用)

ペトレンコさんのリハーサルから本番へ向けての統率力、歌劇場の合唱団やオーケストラの絡み合う音色と表現力、フォークトさんはじめ歌手の皆さんの素晴らしさ、舞台に関わる裏方の皆さんのプロの仕事。もう全てに浸り、幸せでしかなかった時間。

そんなお仕事でしたが、私にとってバンダは初体験。休憩含め5時間のオペラの中での出番は少なく、待つ時間がとにかく長い。自分の仕事がない2幕はただただ素晴らしい音楽に浸れるのですが、1幕と3幕は出番があるので、ずっと待って突然演奏するという状況が何度もある。その状況でベストが尽くせるためにどんな準備が必要か?今回はそのことを真剣に考えた時間でもありました。

リードのコンディション

発音

曲の流れ

緊張

その時その時で気になるポイントは変化しますが、今回私が取り組んでみたのは「最初の音から流れる音楽」をずっと楽器を吹けない状況から突然始めたい時にどんな演奏プランが考えられるのか、ということ。長く聴いているステキな音楽に私もすっと溶け込みたい、という願い。

演奏の途中のようなことがはじめから起こせればいいんじゃない?

って頭では思っていてもうまくいかない時、動きたい!動かなきゃ!ではなくもっと起こるべき動きを明確にし、そこに意識的にアプローチして自分を自分でコントロールするやり方もあります。アレクサンダーテクニーク。

何が役に立つかはその時の状況にもよりますが、この時の私には

「構える動きと呼吸の動きを明確にすることで動き続けること」

が役に立ちました。それは私が自分をモニターして気づいた分析。

構えることで吹く準備をしてるはずなのに、息を吸う時に動けるはずの鎖骨や肩甲骨周りまでロックしてしまっている

息を吐く時に吐き方には細心の注意を払っているのに、スムーズに空気が流れたい身体の状態のほうをロックしてしまっている

自分で自分を邪魔していることに気づき、構えと呼吸の役割をちゃんと区分けすることが出来る方法を考えて実行してみる、そんなことに取り組んでみました。

構え→「腕をあげると肩甲骨が前にスライドして鎖骨も前についてこれる」

吸う→「鎖骨は上にも動くことが出来る!」

吐く→「肩はもっと前後にも動ける!(肩甲上腕関節の屈曲)」

動きを連続させることで固まることなくスムーズに息が流れて行ける。動ける方法を知っていると固まらなくて済む。

自分へ指示を出すって作業は決して特別なことじゃない。音程が取りにくい箇所を気をつけなきゃと思うこと、レガートが繋がりにくいところで指や息のことを一瞬思い出すことなどと同じこと。

演奏することに役に立つ技術の1つだと思っています。

あのステキなサウンド、世界観に近づきたい  o(*゚▽゚*)o

より目指したいことがはっきり見え、私の価値観を変えてくれた公演に関われた時間は人生の宝物です(*´꒳`*)