痛みが教えてくれること

こんにちは。ひろみです。

突然ですが、あなたは演奏中何かしらの「痛み」で苦い経験をしたことはありますか?

学生時代、腰痛に悩んでいる子がいました。よく練習する子でしたが、練習に熱が入れば入るほど腰痛を悪化させてしまうようで、とても悩んでいました。

オーボエやイングリシュホルンで腱鞘炎になった、と言う話も何度か聞きました。ピアノの方からも腱鞘炎というワードはよく聞きます。

私自身のことで言えば、あるオーケストラに客演首席で呼んでいただいたときのことを思い出します。

首席でしたがイングリシュホルンも担当する曲がありました。1曲ほとんどソロ、バッハの宗教曲のアリアでした。少しでもいい演奏をしたい、とにかくがむしゃらに練習をしていった記憶があります。確かCD録音も入っていた公演で、リハーサルも指揮者の細かい指示が飛びます。気がついたら・・・楽器を構えている時間がとても長い日が続いていました。そんなリハーサルを経てゲネプロ、本番となる訳ですが、その本番直前のゲネプロで異変を感じたのです。

手が痺れて思い通りに動かすのが難しい

それまでも疲労感はかなりありました。重い楽器を長時間演奏しているのだからある程度はしょうがない、自分の中でそう思っていました。でも、この時感じたのは疲労感ではなく、痺れや動きの鈍さ。やばいかも・・・今まで通り吹き続けられるかに大きな不安を感じた瞬間でした。

それでも本番はやってきます。今までの蓄積とリハーサルでの疲労は残ったまま本番を迎え・・・音楽的にも大きなチャレンジの舞台でやりたいことや音楽に乗せたい気持ちはいっぱい膨らんでいたのに、演奏中、恐れていた「痛み」と「痺れ」は何度となく私の音楽の邪魔をし、心を支配していく。気にするなというのが無理の状態。痺れがひどいところでは楽器を落としちゃうのではないかという恐怖をまさかの本番で感じながらの演奏。なんとか大きな失敗には聴こえていないだろうけれど(そう祈りたい)もっとやりたかったことがあったのに・・・という苦い苦い経験を思い出すのです。

その後治療に行ったら1ヶ月安静、と。(できる訳ない)

この休ませれば治る、というのも演奏者にはそうはいかない時が多くあって困りものです。休んで治るならまなだ良くて、また続けて演奏すると痛みが繰り返すとなると、これは演奏者にとって治療ではないんです。

演奏を快適に これを叶えるためには痛みに至っている「動き」や「からだの使い方」を見直さなければ根本からの改善に結びつかない。演奏活動からこのことを痛感していました。

そうはいっても・・・と結局演奏活動をしている以上は騙し騙し演奏し続けてしまう、そんな状態から私が抜け出せたのはアレクサンダーテクニークとの出会いでした。アレクサンダーに出会ったのは産後子育てのために多くの演奏の仕事をお休みしていた期間。これまでの疑問を解決できそうに思ったこと、からだのことを知りたくなったこと、勉強だったら自分のペースでできるという想いがアレクサンダーテクニークとの出会いとうまく重なってラッキーだったんだと思います。

そんな私のラッキーと同じような体験を困っている演奏者の皆さんにもお届けできたら嬉しいです。

補足

私は「痛みを治す人」ではありません。私のレッスンでこれまでの痛みがなくなるかどうかはわかりません。痛みには複数の原因が存在することも多いので、まずは医療や治療の領域で診断をしてもらうことが大事になります。その上で、痛みの原因と考えられる「動き」についてはアレクサンダーテクニーク、解剖、演奏者としての経験などを総合的に含めた視点で見ることができます。これまでのやり方(習慣)(くせ)の変更は簡単ではありませんが、そのプロセスも含めてより快適な演奏のための動きを提案するレッスンをしています。その結果、痛みの軽減や改善を言ってくれる生徒さんが増えています。演奏を、音楽を楽しむための1つの要素としての提案です。