こんにちは、ひろみです。
いきなりですが、民族色豊かな曲を聴くと、独特のリズムやなまりを感じませんか?
そんな曲を演奏する側になった時、楽譜をよく見ると普段は強拍によく見かけるアクセントが変な拍(弱拍)にわざとついていたりすること、多いですよね。
民族的な音楽でなくても、弱拍にアクセントがきている時って、それまでとは違った曲想になっていたり、コミカルに聞こえたり、と曲としても面白みのある部分であることは多いと思います。
今回はそんなアクセントを効果的に演奏する技術について考えたいと思います。
レッスンに来てくれた生徒さんのお悩みは、3拍子の2拍目の裏拍についているアクセントがどうも効果的に出来ない、というものでした。
生徒さんが取り組んでいたのはエチュードでしたが、オーケストラの曲中などでも同じような場面に出会います。
私は大学の授業のオーケストラを10年以上担当していますが、アクセントを効果的に演奏したい場所が小節のはじめにある時には意識的に演奏し易そうなのに、特に弱拍に書いてあるアクセントや、音の跳躍が絡んでくるアクセントになると演奏しづらそうにしているケースはよく見かけています。
それは見落としているわけではなく、むしろ本人はけっこう意識してやろうとしているのに音はそうなって聴こえない場合や、
それっぽくは演奏出来ているんだけど、効果としてのもっと!を自分が求める時、あるいは他人から求められるとき。
時折、身体のアクション(動き)は大きくなってるのに実際に出ている音はあまり変化していないケースも見かけます。
アクセントを演奏する時、この部分でこんな音を出したい!とイメージして演奏した結果、上手くいっていれば何の問題もないのですが・・・悩む人のほとんどはイメージから起こる動きでは上手くいかなくて困っているから、何らかの助けが必要です。
その助けの種類はその人の今の理解や技術によって違ってくるのでここで万能な改善策は出せないし、わたしにもわからないケースは多くあるでしょう。
でもどんなケースに出会っても、吹き手の経験年数やスキルに違いがあったとしても、一緒に考えたい過程はあって
その人が自分の今にどんな理解をしていて
やりたいことについてどんな理解が必要で
実現するためにはどこが動くとそれを起こしてくれて
身体の仕組みに寄り沿った動き方が出来ればより効率的で
実現したいことのために、1つずつその手順を丁寧にやっていくことを助けることで
結果、理想としている音に近づいていける
みたいなことです。
今回の生徒さんの場合、速い動きの中のアクセントがアクセントに聴こえるように演奏したい、という目的のために、アクセントの前の音とアクセントの音をロングトーンしてもらい、ここからここへ素早く移動する、ということを感覚に訴えてみました。
これだけでも出来るようになる方はいるでしょう。上手くいったらそれが自分にとって最良の方法。でもこの時は上手くいきませんでした。なので、もう少し分解しながら考えていきます。
アクセントの前の音をロングトーンした時とアクセントの音をロングトーンした時に同じだったことと変化させたことを見つけてもらうために自分自身が何をしているのかを観察してもらいました。
変化させていることってアクセントに聴こえるようにするために必要な動きなはず。
だから、その必要な動きだけをもっと増やしたらいいんじゃないか?変わらないことは変えなくてもいいんじゃないか?
じゃあ必要な動きって何だろう??その動きを積極的にしてみたらどうなるだろう??
アクセントってそもそもどうなった時にアクセントに聴こえるのか?どんな現象なのか?
そんな理解も含めてやりたい目的に対しての動きを整理していくお手伝いをしていきました。
こんな一連のやりとりの後、この生徒さんは
アクセントの時に息をたくさん入れたいのに、息の通り道である喉のあたりをギュッと閉めてしまっていた
ことに気づきました。このあたりを少し整理して吹いていただいたら、あんなにアクセントが出来ない、と上手くいっていなかったのが嘘のようにスラスラ演奏してくれたのでした。
必要なことや場所が自分の中ではっきりしていれば、その分量だってコントロール出来るし、そのために力を使える。
ただ頑張って吹いてます、のピントを合わせていくことが技術ってやつなのかもしれませんね。